「露西亜」はロシアの古い呼称だった

現在「ロシア」と呼んでいる国は、かつて日本語でさまざまな表記で書かれていました。「露西亜」(ろせいあ)や「魯西亜」、「俄羅斯」、「魯国」「露国」といった漢字表記が使われており、どれも音読みや当時の認識に基づいた呼び方です。

特に「露西亜」という表記は、明治時代から徐々に広まり始めました。それ以前は「魯西亜」や「俄羅斯」といった表記も見られ、統一されるまでに時間がかかりました。1887年頃までは複数の表記が混在しており、文献によっても異なっていました。

1888年以降、「露西亜」の使用が増加し、1900年代に入るとほぼ定着。政府文書や新聞でもよく使われるようになりました。しかし「魯西亜」もしばらく並行して使われ続け、完全に統一されるまでに数十年かかりました。

ちなみに「露」の字は、「露骨」「露光」といった意味ではなく、ここでは音を表すための当て字です。「西亜」は「西方の国」との意味合いから付けられたと考えられ、異国に対する当時の日本人のイメージがにじみ出ています。

1926年以降、こうした漢字表記は次第に「ロシア」というカタカナ表記へと移行していきました。現代では「露西亜」は歴史的な文脈でしか見かけませんが、古書や古い地図、文献などで出会うことがあります。

日本語の変遷は、外国との関わりの変化を映す鏡でもあります。「露西亜」という言葉には、明治・大正時代の日本人がロシアをどう見ていたかという記憶が、静かに息づいているのです。

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