徳川家康が生涯で唯一敗れた男、武田信玄
「戦国最強」と謳われた名将、徳川家康。天下人として歴史に名を残した彼ですが、その生涯においてたった一度だけ、手も足も出ずに完敗した戦いがあります。それが元亀3年(1572年)に起こった「三方ヶ原(みかたがはら)の戦い」であり、家康を打ち破った相手こそが、甲斐の虎こと武田信玄でした。
当時31歳だった若き家康は、圧倒的な軍事力と洗練された戦術を誇る信玄の前に大敗を喫します。武田軍の猛攻により徳川軍は崩壊し、家康自身も多くの重臣を失いながら、命からがら居城である浜松城へと逃げ帰ることになりました。まさに九死に一生を得る、凄惨な敗戦だったと言えます。
しかし、家康の真の強さはここからでした。彼はこの悔しさと恐怖を忘れないよう、敗走直後の惨めな自分の姿を絵師に描かせたと言われています。この肖像画は「しかみ像」と呼ばれ、家康は自らの慢心を戒めるために、生涯この絵を身近に置き続けました。失敗をただの敗北で終わらせず、最大の教訓へと変えたことが、後に彼が天下を掴む礎となったのです。
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