高齢者が日中も夜間も「寝てばかりいる」状態が見られるようになると、ご家族としては「どこか悪いのではないか」「このまま寝たきりになってしまうのでは」と大きな不安を感じるものです。単なる加齢による体力の低下や疲労の蓄積である場合も少なくありませんが、中には身体の不調や疾患、思わぬリスクが隠れているケースもあります。
本記事では、高齢者が寝てばかりいるときに考えられる主な原因と、それに伴うリスク、そしてご家族が知っておきたい適切な対処法について詳しく解説します。
高齢者が寝てばかりいるときに考えられる主な原因
年齢を重ねると、若い頃に比べて夜間の睡眠が浅くなったり、日中に活動するエネルギーが低下したりするため、自然とウトウトする時間が増えやすくなります。しかし、急激に睡眠時間が増えた場合や、常にぼんやりしているような状態には、以下のような明確な原因が隠れていることが少なくありません。
加齢や体力の低下:
筋力や持久力が衰えることで、ちょっとした活動でも強い疲労を感じやすくなり、日中の眠気につながります。 脱水症状:
高齢者は体内の水分保持能力が低下し、喉の渇きも感じにくいため、知らず知らずのうちに軽度な脱水状態に陥り、だるさや強い眠気を引き起こします。 薬の副作用(ポリファーマシーなど):
複数のお薬を服用している場合、その鎮静作用や相互作用によって、日中に強い傾眠(うとうとした状態)があらわれることがあります。 認知症や脳の疾患:
認知症に伴う昼夜逆転や無気力状態のほか、転倒などで頭を打った後に起こる「慢性硬膜下血腫」などが原因で、意識レベルが低下しているケースもあります。 食後の低血圧:
食事の消化・吸収のために血液が胃腸に集中することで、全身の血圧が下がり、食後に激しい眠気やふらつきが起こることがあります。
放置することで生じるリスクとは
「疲れているのだろう」とそのまま寝かせておくことは、時として生活機能のさらなる低下を招く原因となります。日中ずっと横になっていることで、以下のようなトラブルのリスクが高まるため注意が必要です。
廃用症候群(生活不活発病): わずか数日〜数週間の寝たきり生活でも、筋肉や関節の機能が急速に衰え、自力で歩くことが難しくなるおそれがあります。
誤嚥(ごえん)のリスク:
意識がもうろうとした状態や、横になったままの姿勢で食事をとることで、食べ物や唾液が誤って気管に入り、誤嚥性肺炎を引き起こす危険性が高まります。 転倒・転落事故:
覚醒している時間が短いと、いざ起き上がったときにバランスを崩しやすく、階段やちょっとした段差での転倒リスクが増加します。 食事量および栄養状態の低下:
睡眠時間が長くなると活動量が減り、お腹が空きにくくなるため、食事や水分を摂る量が減少し、さらなる体力の低下を招くという悪循環に陥ります。
近年、過度に長い睡眠や「床上時間」の増加は、身体からの何らかのSOSサインである可能性も指摘されています。ご本人の様子を観察し、普段と違う急激な変化が見られたときは、無理に自己判断せず、かかりつけ医や専門家に相談することが大切です。
最近、ご家族や身近な高齢者の方の睡眠や日中の様子で、何か気になっている変化はありますか?
高齢者が寝てばかりいるときの対策と見極めのポイント
日常生活での具体的な対策
高齢者が日中も寝てばかりいる状態(傾眠傾向)を改善するためには、無理に起こすのではなく、生活リズムや環境を整えることが大切です。まずは、こまめな水分補給を心がけましょう。体内の水分が不足すると、だるさや強い眠気が引き起こされやすくなります。
また、昼夜のメリハリをつけるために、日中はカーテンを開けて日光を取り入れ、散歩や室内での軽い体操など、体を動かす機会を増やすことが効果的です。昼寝をする場合は、夜の睡眠に影響が出ないよう、15分から30分程度の短時間にとどめましょう。
注意すべき病気と医療機関への相談
睡眠時間の増加や強い眠気の背景には、単なる加齢だけでなく、さまざまな病気や薬の副作用が隠れていることがあります。
主な原因の例:
脳の疾患(慢性硬膜下血腫など)、脱水症状、感染症、服薬している薬の眠気成分、認知症の進行
「呼びかけても反応が鈍い」「急に寝てばかりいるようになった」といった変化が見られる場合は、自己判断せず、かかりつけ医や専門医に相談して原因を確認することが重要です。
まとめ
寝てばかりいる状態を放置すると、筋力の低下や誤嚥などのリスクが高まります。周囲の人が優しく見守りつつ、適切な対策と早めの受診を行いましょう。
日々の介護や見守りの中で、ご本人の様子について特に気になっている変化などはありますか?
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