ゴッホが生前たった1枚だけ売った絵とは?
「画家の生涯でたった1枚の絵しか売れなかった」と言われる中で、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの名前は特に有名です。しかし実際には、彼の作品は生前にも少しずつ注目されつつありました。
1888年11月、南仏アルルで描かれた『赤いブドウ畑』は、ゴッホが生前に確認できる範囲で金銭と引き換えに売れた絵のひとつとされています。この作品を1890年に400フランで購入したのは、オランダの陶器メーカー、ロイヤル・ティルバーグ社の創業家に属する女性、アニェタ・ボーゲマン=フォン・ミュラーでした。
当時の400フランは、現代の価値に換算すると約40万円。19世紀末の物価を考えると、決して高額とは言えない金額ですが、若き芸術家への大きな励みになったに違いありません。この取引は、彼の弟テオを通じて行われたとされ、ゴッホ自身はその売却を喜び、手紙にそのことを綴っています。
『赤いブドウ畑』は現在、ロシアのプーシキン美術館に所蔵されており、鮮やかな赤と黄色のコントラストが、ゴッホの情熱的な筆遣いを今も伝えています。生前に評価されず、貧困と孤独の中で生涯を閉じたゴッホですが、この1枚の売却は、彼の芸術が少しずつ認められようとしていた証でもあるのです。
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