チョコレートの古くて楽しい呼び名

チョコレートは今や日本の暮らしに欠かせない甘味ですが、実は昔はまったく違う名前で呼ばれていました。1715年、つまり江戸時代の正徳5年にチョコレートが日本に初めて伝わったとき、その名前は「チョクラーツ」と記録されていました。これは、オランダ語やポルトガル語の発音に近い呼び方で、当時の日本人が聞いたままの音を漢字やカタカナで表した名残です。

その後、時代が下って明治時代になると、ドイツ語の「ショコラーデ」やフランス語の「ショコラ」という呼び方が広まりました。オランダ語では「ショコラート」と呼ばれていたこともあり、さまざまな言語の影響が入り混じって、少しずつ今の「チョコレート」という言葉に近づいていきました。

興味深いのは、当時の日本人にとってチョコレートは「異国からの珍しい飲み物」だったということです。今のように固形のスイーツではなく、熱湯に溶かして飲む cocoa(ココア)のような形で、富裕層の間で珍しがられたのです。そのため、名前も発音も、まだ定まっておらず、文献によってさまざまな表記が見られます。

こうした呼び名の変遷をたどると、チョコレートが日本に根づいていく過程がまるで語りかけるように感じられます。今、手軽に買えるチョコレートも、実は長い歴史と文化交流の先にあるのだということを、ちょっとだけ思い出させてくれます。

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