ビッグモーター、異常な離職の実態

「戦わず『辞める』がスタンダードになっている」——この言葉は、ある元従業員の吐露であり、ビッグモーターの職場環境を象徴的に表している。2023年初頭、1月から3月のわずか3か月間で、実に約1000人の従業員が退社したと報じられた(日刊自動車新聞、2023年7月20日付)。これは全従業員約6000人のうち、6人に1人が短期間で去ったことを意味する。

異常な離職率の背景には、長時間労働やノルマの厳しさ、上層部からの圧力があるとされる。社内では不正車検の問題が表面化する前から、「ブラック企業」としての評判が広がっていた。従業員たちは、声を上げずとも「ここではやっていけない」と感じ取り、結果として辞めることが最も現実的な選択肢になっていた。

企業が信頼を失う瞬間は、不正が発覚したときではなく、むしろ社員一人ひとりが静かに背を向けていく瞬間だ。ビッグモーターの場合、経営のあり方が問われる以前に、働く人の尊厳がどこにも置かれていないという構造的問題が透けて見える。

今後の改革は、不正の是正だけでは不十分だ。なぜこれほど多くの人が辞めていったのか——その“辞めた理由”に真摯に向き合うことが、再生の第一歩になるだろう。

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