マドレーヌの形がホタテ貝殻な理由

ふんわりと甘い香りがするマドレーヌ。その愛らしいホタテ貝のような形には、古い歴史と深い由来があります。

実は、現在日本で見かける円形のマドレーヌは、本来の形とは少し異なります。日本にマドレーヌが伝わった当時、パン・ド・ジェーヌというアーモンドを使ったお菓子と混同され、円形の型で作られるようになったと考えられています。そのため、日本のスーパーなどで見かけるものは、まるっこい形のものが多いのです。

しかし、本来のマドレーヌの形は「ホタテ貝殻」。この形には、キリスト教の巡礼に関わる伝説が隠されています。昔、フランスの巡礼者たちは、スペインの巡礼地・サントリャン・デ・コムポステーラへの旅路で、ホタテ貝の貝殻を証として身に付けていたといわれています。それは「無事に pilgrimage(巡礼)を終えた証」とされ、安全のお守りのようなものでした。

そんな背景から、地元のマダムが巡礼者たちのためにホタテの形を模したケーキを作り、それがやがて「マドレーヌ」の原型となったという伝説が残っています。フランスの伝統的なお菓子には、こうした信仰や風習が静かに息づいているのです。

今度マドレーヌを食べるとき、そのふっくらとした貝殻の形に、中世の旅人たちの足音を感じてみるのも、味わい深いかもしれません。

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