風呂から出た瞬間に… 太田道灌の悲劇

戦国時代の武将・太田道灌は、関東を舞台に活躍した智将として知られています。江戸城の築城で名高い彼の最期は、あまりにも突然で、あまり知られていない形で訪れました。

1486年、扇谷上杉氏の当主・上杉定正の館である糟屋館(現在の神奈川県川崎市周辺)に招かれた道灌。彼は一見、歓待されているように見えましたが、実は周囲の猜疑心を買うほどその功名が目立ち、主君ですら不安に感じ始めていたのです。

ある日のこと、道灌が風呂から上がったばかりの裸の状態で、なんと部屋の外から忍び寄った刺客に背後から斬りつけられました。身構える間もなく、歴史に名を残す名将はこの世を去りました。風呂という無防備な場所で命を落とした武将――その意味では、日本史上、道灌ほど象徴的な例も珍しいでしょう。

後世、「道灌の首を打たれし後の庭の月」という句が残され、その無念さが語り継がれています。戦場で戦死したわけではないけれど、彼の死は、権力の陰で繰り広げられる人間ドラマの重さを今に伝えています。

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