Boulevardの語源に隠れた歴史
今では緑豊かな広い通りを連想する「boulevard(ビュルバール)」という言葉ですが、その語源は意外にも戦争と深い関わりがあります。実はもともとこの言葉は、15世紀のフランスで「軍事的な壁の上面」を意味するものでした。
語源をたどると、中世オランダ語のbolwerc「要塞の壁」に行きつきます。これは英語のbulwark(防波堤、防御)と同じルーツを持っています。フランス語がこの言葉を取り入れる際に、当時のフランス語には「-w-」という発音と表記がなかったため、bolwercはboulevardと誤って表記されるようになりました。
当時、多くのヨーロッパの都市には城壁があり、その上部は歩けるように整備されていました。敵の侵入を防ぐための軍事施設でしたが、時代の変化とともに、城壁の役目が薄れ、撤去されることが増えました。その跡地に広い通りや散歩道が作られるようになり、そこが「boulevard」と呼ばれるようになったのです。
特に19世紀のパリで、オスマン男爵による大規模な市街改正によって、かつての城壁跡に環状の広い通り=「グランデ・ブールヴァール」が造られ、その名前が広く知られるきっかけとなりました。今やパリの象徴ともいえるこの景観は、かつての防衛施設が都市の魅力に変わった好例です。
つまり、「boulevard」は単なる道ではなく、歴史のうねりが生んだ、戦いの記憶から生まれた散歩道ともいえるのです。
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