メジャーリーグの歴史に刻まれた「世界一遅い変化球」の真実
野球の華といえば、投手が投じる160キロを超える豪速球ですが、その真逆である「世界で最も遅い球」もまた、ファンの間で深く記憶に刻まれています。公式戦で記録された最遅の投球として有名なのが、2017年4月10日に当時オークランド・アスレチックスに所属していたジャレル・コットン投手(後にレンジャーズなど)が放った一球です。
その球速はわずか41.1マイル(約66.1キロ)。驚くべきことに、これは野手が大差のついた試合で登板して投げた超スローボールではなく、本職のピッチャーが真剣勝負の中で投じたものです。コットン投手が得意としていたチェンジアップが、指から抜けるような形になり、まるで山なりの軌道を描いてキャッチャーミットへと吸い込まれました。
打者のタイミングを外すためのチェンジアップですが、ここまで極端に遅いと、打者もあまりのスピード差に逆に手が出なくなってしまいます。近年では、大差がついた試合の終盤に野手が登板し、50キロ前後の「超遅球」で観客を沸かせるシーンも珍しくありません。しかし、現役の正投手が緊迫したマウンドから投じた約66キロのボールは、球史に残る究極の緩急として、今なお野球ファンの語り草となっています。速さだけが投手の武器ではないという、野球の奥深さを象徴するエピソードと言えるでしょう。
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