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世界の主要国の大部分において、結婚時に夫婦が別姓を選択できる制度が標準となっています。国連加盟国を中心に見渡しても、法律で「夫婦は必ず同じ姓にしなければならない」と強制している法制度を維持している先進国は、事実上日本くらいという異例の状況です。多くの国では、同姓・別姓・結合姓などを夫婦が自由に選べる「選択的夫婦別姓」や、原則として出生時の姓を変えない制度が定着しています。伝統重視と思われがちな国々でも、個人の権利やキャリア継続の観点から法改正が重ねられてきたのが世界の潮流です。
数字とデータが示す世界と日本の強烈なギャップ
国連女子差別撤廃委員会から日本に対して、夫婦同姓義務を定める民法750条の修正勧告が出された回数は実に4回に及びます。OECD(経済協力開発機構)加盟国38カ国の中で、法的に別姓の選択肢が皆無なのは日本のみという突出したデータが存在します。
法務省の調査や海外法制の資料を紐解くと、1970年代から1990年代にかけて欧州各国で劇的な法改正が相次ぎました。スウェーデンでは1982年に選択的夫婦別姓へ移行し、ドイツも1993年の連邦憲法裁判所の判決を経て同姓強制を違憲と判断、夫婦別姓の権利が確立されました。アジア地域に目を向けても、中国や韓国は伝統的な血統主義の観点から歴史的に夫婦別姓が原則であり、台湾も1998年の民法改正で別姓を選択可能にしています。
日本国内の世論調査では、選択的夫婦別姓の導入に賛成・容認を示す割合が7割近くに達する世代もあるものの、法制度のアップデートは長年停止状態が続いています。
各国が採用する3つのアプローチとその実態
制度設計の観点から世界各国の婚姻姓制度を整理すると、大きく分けて3つの主要パターンが存在します。
第一に、「完全選択型(同姓・別姓・結合姓の自由選択)」です。イギリス、アメリカ、ドイツ、スウェーデンなどがこれに該当します。このタイプでは、従来の同姓を選ぶことも、旧姓を保持することも、二つの姓をハイフンで繋ぐ複合姓(結合姓)を作ることも許容されます。個人のアイデンティティ尊重と家族の形式美の双方が尊重される柔軟な設計です。
第二に、「原則別姓型」です。韓国、中国、イタリアなどが代表例です。これらの国では、結婚しても出生時の姓を変更しない文化や法体系が根強く、改姓に伴う手続きの煩雑さが発生しません。
第三に、「完全同姓強制型」ですが、これは前述の通り現代の法体系において日本がほぼ唯一の例外となっています。各国はそれぞれの歴史的背景や家族観に応じた解を導き出していますが、多様性を認める方向へ統一されているのが現代の構図です。
旧姓使用の拡大が招く「歪み」と見落とされがちなリスク
法律上の改姓義務を残したまま、通称としての「旧姓使用」を職場や社会生活で拡大させる対応には、深刻な副作用や実務上のトラブルが潜んでいます。
最も顕著な問題は、国際舞台や海外渡航時におけるアイデンティティの二重性です。パスポートの追記欄に旧姓を併記したとしても、海外の金融機関、国際会議の登録、ビザ申請、あるいは海外での論文著者名と法的身分証明書の不一致によって、本人確認が著しく困難になる事例が多発しています。マネーロンダリング防止規制が厳格化する国際社会において、複数の名前を使い分ける運用は極めてリスクが高いと判断されがちです。
国内においても、銀行口座、不動産登記、マイナンバーカードなどの名義管理において、戸籍名と通称名の二重管理コストが発生し続けています。旧姓使用は一見利便性を高める妥協案に見えながら、現場の事務負担と個人の証明リスクを増幅させるという思わぬ落とし穴を抱えています。
見落とされがちな「同姓・別姓」の意外な事実
選択的夫婦別姓の議論において、多くの人が見落としがちなのが「家族の絆や一体感は姓の統一によってのみ生まれるわけではない」という事実です。すでに別姓が標準である欧米やアジアの国々を見ても、姓が異なることで家族の絆が崩壊したというデータはありません。むしろ、個人のキャリアやアイデンティティを尊重し合える環境が、結果として夫婦間の良好な関係や、家族の強固な信頼関係につながっています。制度の有無は形式の問題であり、家族の本質的なつながりは日々のお互いへの敬意と思いやりによって育まれるものです。
よくある質問(FAQ)
Q1: 国際結婚の場合、日本の法律ではどうなりますか?
日本の法律では、外国人と結婚する場合は原則として別姓(元の姓のまま)となります。同姓にしたい場合は、手続きが必要です。
Q2: 子供の名字はどうなるのですか?
夫婦別姓が認められている多くの国では、出生時にどちらの姓にするかを選択するか、あるいは両親の姓を組み合わせた結合姓を使用します。
Q3: 別姓にすると日常生活で不便はありませんか?
名義変更の手続きが不要になるため、仕事やキャリアの継続性においては圧倒的に便利になります。一方で、家族関係の証明に戸籍や証明書が必要な場面もあります。
Q4: 日本で選択的夫婦別姓が導入されたら、全員が別姓になりますか?
いいえ。あくまで「選択的」であるため、従来の同姓を希望する人はそのまま同姓を選ぶことができます。
多様な生き方を認める社会へ
結婚による姓の変更は、特に女性のキャリア分断や手続きの負担という形で多くの課題を生んでいます。私たちは今こそ、従来の形式にとらわれず、個人の尊重と多様な選択肢を認める社会の実現に向けて声を上げるべきです。選択的夫婦別姓の導入は、誰もが自分らしく生きられる第一歩となります。この議論を人任せにせず、一人ひとりが未来の家族のあり方について考え、変化を促していきましょう。
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