日本列島の歴史を語る上で欠かせない「縄文時代」。約1万年以上続いたこの長い時代に、人々は一体何歳くらいまで生きいていたのでしょうか。「昔の人はすぐに亡くなってしまった」というイメージを持つ人は多いかもしれませんが、近年の発掘調査や形質人類学の研究によって、その実態は少しずつ異なっていたことが分かってきています。
この記事の【前編】では、縄文時代の平均寿命に関する驚きのデータや、当時の過酷ながらも知恵に満ちたライフスタイルについて詳しく解説していきます。
1. 縄文人の平均寿命と「15歳」というターニングポイント
私たちが現代の感覚で「寿命」と聞くと、80代や90代といった数字を想像しがちです。しかし、縄文時代の出土人骨を分析して導き出されたデータを見ると、当時の平均寿命はおよそ10代前半から30歳前後であったとされています。
これには、当時の死亡率の特殊性が深く関係しています。
乳幼児の死亡率の高さ:現代とは異なり、医療や衛生環境が十分に整っていなかった縄文時代では、生まれてすぐ、あるいは15歳を迎えるまでに命を落とす子供が非常に多くいました。
成人(15歳以上)の平均死亡年齢:研究データによると、15歳の壁を乗り越えて大人に成長した場合、その後の平均死亡年齢(平均余命)は男女ともに31歳前後(合計でおよそ45歳前後まで生きる計算)であることが分かっています。
つまり、「生まれたばかりの頃からの平均」をとると数値が極端に短くなりますが、無事に大人になれば、30代や40代、さらにはそれ以上の年齢まで生きる人も珍しくなかったのです。
2. 実はいた? 50代・60代の「ご長寿」たち
「30代で人生が終わってしまうなんて早すぎる」と感じるかもしれませんが、遺跡から見つかる人骨の中には、歯のすり減り具合や骨の状態から50代や60代といった高年齢層に達していた形跡も確認されています。
当時の人々は、大自然の中で狩猟や採集を行い、決して楽とは言えない環境で暮らしていました。それでも長生きできた背景には、以下のような要因がありました。
豊かな自然の恵み:ドングリやクリなどの堅果類をアク抜きして保存する技術や、季節に応じた多様な動植物の採取など、栄養価の高い食生活が維持されていました。
助け合うコミュニティ:怪我をしたり、歯が抜けたりして自力で食べるのが難しくなった高齢者が、周囲の人々からサポートを受けながら長く生き延びていた形跡(骨の癒合痕など)が発見されています。これは、縄文社会に温かい支え合いの絆があったことを物語っています。
(後半へ続く:次回の記事では、縄文人が直面した病気やケガ、そして彼らがどのようにして健康を維持していたのか、さらに踏み込んで解説します。)
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