フィリピンの経済成長が著しい一方で、現地で働く人々のリアルな懐事情はどうなっているのでしょうか。実は、近年の統計データによると、フィリピンの全国平均月収は約21,000〜22,000ペソ(日本円で約5万〜6万円程度)となっています。日本の平均月収と比較するとその差は歴然としていますが、この数字の背景には、急速な経済発展と根強い格差社会という複雑な構造が隠されています。
フィリピンの経済成長と所得格差の背景
フィリピンは近年「アジアの新たな経済優等生」とも称され、年率5%を超える安定したGDP成長率を維持しています。この原動力となっているのが、首都マニラ首都圏やセブなどの都市部を中心に急拡大しているBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)産業やIT関連市場、そして旺盛な内需です。高層ビルが立ち並び、巨大ショッピングモールが次々とオープンするなど、都市部の一部の富裕層やエリート層にとっては、欧米諸国にも引けを取らない華やかな消費社会が形成されています。
しかしその一方で、この経済成長の恩恵が国内の隅々まで行き渡っているとは言い難いのが現実です。フィリピンの労働市場には、大卒以上の学歴や高い英語力、ITスキルを持つ「高所得層・専門職」と、地方の農林水産業や都市部の未熟練労働に従事する「低所得層」の間に深い溝が存在します。公式な平均値は一部の高所得者層によって大きく引き上げられているため、実際に一般の労働者が手にしている「中央値」は、平均よりもさらに低い水準にとどまるケースが少なくありません。
こうした背景から、国内での就労だけでは生活費や家族の養育費を十分に賄えず、海外の出稼ぎ労働者(OFW:海外勤務フィリピン人)として世界各国へ飛び立ち、母国へ送金を行うことで家計を支えるという構造が長年続いてきました。都市と地方の格差、そして産業構造の歪みが、現在のフィリピン特有の給与事情を作り出しているのです。
コメント
まだコメントはありません。最初のコメントを投稿しましょう。