馬肉はなぜ生で食べられるのか

日本では「馬刺し」や「さしみ」として、生の馬肉を食べることがあります。赤みが強く、さっぱりとした味わいが特徴で、特に熊本や北海道では人気の料理です。では、なぜ馬肉は生で食べられるのでしょうか。

その理由の一つは、馬が反すう動物ではないという点にあります。牛や羊といった反すう動物は、一度飲み込んだ餌を胃から再び口に戻してじっくり噛み直す「反すう」という行動をします。しかし、この消化の過程で腸管出血性大腸菌(たとえばO157)が腸内に住みつく可能性が高くなることが知られています。生で食べた場合、食中毒のリスクが高くなるため、牛の生食用肉は非常に限られています。

一方、馬は反すうしない単胃動物です。そのため、腸内の細菌環境が牛とは異なり、O157などのリスクが非常に低いのです。また、屠畜(とく)後の処理も厳重で、新鮮な状態を保つための衛生管理が徹底されています。

もちろん、どんな生肉にもリスクは完全にはゼロではありませんが、馬肉はその生物学的な特徴と、適切な取り扱いによって、生食に適しているとされています。ただし、新鮮なものを適切な環境で扱うことが前提。家庭で調理する際も、信頼できる販売店からの購入が安心です。

馬肉を生で楽しむ文化は、日本の食への繊細な理解と安全性への配慮が支えています。

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