『竜龕手鑑』とは何か?
『竜龕手鑑』(りゅうがんしゅかん)は、中国の遼代(10世紀末から11世紀)に僧行均という僧が編んだ漢字の辞典です。全4巻からなり、収録されている漢字は約2万6400字にも及び、当時の多様な字体を知るうえで非常に貴重な資料とされています。
この字書の特徴は、従来の『説文解字』のような部首の分け方ではなく、実用的な偏旁(部首の変形や組み合わせ)を242の部に分けて整理している点です。さらに、各部内の漢字は「平声・上声・去声・入声」という四声の順に並べられており、当時の発音を推測する手がかりにもなっています。
各漢字の下には、その字の正字・俗字・古字・通字といったさまざまな形が並べられ、どの字体が正しく、どの形が日常的に使われていたかがわかります。例えば、ある字が正式な文書ではこう書くが、庶民はこう省略していた、という違いが一目でわかるのです。
『竜龕手鑑』はもともと、仏教の経典を正しく読むための参考書として作られたとされます。経典には難解な古字や変体字が多く使われていたため、読経にあたって字の違いを整理する必要があったのです。
今では、この書は漢字の変遷や中国中世の言語文化を知るうえで欠かせない一冊とされています。古文書や碑文を読む研究者にとっても、重要な手引きとなっています。
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