『栄花物語』と『大鏡』、どちらが先?
平安時代の貴族社会を描いた歴史物語の中で、『栄花物語』と『大鏡』は特に有名ですが、どちらが先に書かれたのかと聞かれるとなかなかややこしいものです。
実は、『栄花物語』の方が『大鏡』よりも早く書かれています。『栄花物語』は11世紀後半、藤原道長の生涯を中心に、宇多天皇から堀河天皇の時代までを扱った作品です。一方、『大鏡』はそれより少し後、12世紀初頭に成立しました。内容は文徳天皇から後一条天皇にかけての出来事を、対話調で語る形で綴られています。
一見、名前に「鏡」がつく『大鏡』の方が古そうな印象を持ちがちですが、実は逆。この二作は「四鏡」と呼ばれる一連の歴史物語の一部で、『栄花物語』をきっかけに、『大鏡』『今鏡』『水鏡』『増鏡』と時代を遡ったり前進したりしながら書かれてきました。『水鏡』のように成立順と時代順が一致していないものもあり、順序がややこしく感じられるのも無理はありません。
『栄花物語』が貴族の栄華を克明に記すリアルな筆致なら、『大鏡』はやや伝説的な語り口で読みやすく、まるで年配の人物が昔話を語っているような雰囲気さえあります。どちらも平安貴族の世界を知る上で欠かせない作品ですが、時系列で読むなら、『栄花物語』から手を出すのがおすすめです。
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