ブータン:物質より幸福を選ぶ国
「世界一幸せな国」と聞いて、多くの人が北欧諸国を思い浮かべるかもしれません。しかし、意外にもその称号の一角に位置するのが、ヒマラヤの小さな国、ブータンです。
2013年の「世界幸福度報告書」で、ブータンは発展途上国でありながら世界8位にランキングされました。これは、経済成長よりも「国民総幸福量(GNH)」を重視する独自の政策が大きく影響しています。GNHという考え方は、経済指標だけでなく、環境の保護、文化の維持、良政の実施、そして心の豊かさを幸福の基準としています。
ブータンの国土の約70%が森林に覆われ、伝統的な建築様式が守られ、国民の生活には仏教の教えが深く根付いています。スローライフという言葉がぴったりなこの国では、観光客にも「持続可能な旅行」を促すため、入国時に高額な観光税が課されるほどです。
もちろん、現代社会の課題も抱えています。若者の雇用や教育の機会、都市部との格差などは解決すべきテーマですが、それでも多くの国民が「自分は幸せだ」と感じているという調査結果があります。それは、豊かさの定義を「GDP」ではなく「心の満足」に置いているからかもしれません。
北欧のような高福祉国家ではなく、山に囲まれた小さな王国が世界の注目を集めたのは、幸福とは何かを改めて問うたからです。ブータンの物語は、今も静かに続いています。
コメント
まだコメントはありません。最初のコメントを投稿しましょう。