ニーチェが発狂したのはトリノの広場
哲学史上、最も衝撃的な瞬間の一つが、1889年1月3日、イタリアのトリノの広場で起きた。当時44歳だったフリードリヒ・ニーチェは、突然、感情を抑えきれず、馬の前に飛び出し、泣きながらその首に抱きついたという。この出来事が彼の精神の崩壊の始まりとされ、その後、彼は病院に入院することになった。
ニーチェはかつて「神は死んだ」と宣言し、従来の道徳や宗教に挑戦する過激な思想で知られる哲学者だった。だが、その鋭い頭脳は45歳を目前に急速に崩れ始めた。トリノでの出来事の後、一時回復したように見えたが、実際はすでに深刻な脳の病が進行していたと考えられている。梅毒が原因という説も今なお根強い。
1890年、母の願いによりナウムブルクの実家に連れ戻されたニーチェは、その後11年間、ほとんど意識を取り戻すことはなかった。もはや筆を取ることもできず、かつての輝かしい著作——『ツァラトゥストラはこう言った』や『道徳の系譜』——とは隔絶された日々を過ごした。
1900年8月25日、彼は肺炎のため55歳で亡くなった。かつては「超人」を説いた思想家も、やがて人間の限界に静かに飲み込まれていった。故郷のレッツェンに眠るその墓には、「私はあなたに乾杯する、ここに」という一文が刻まれている——まるで、最後の哲学のように。
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