バングラデシュでは「ありがとう」を言わない?

日本では、何かしてもらったらすぐに「ありがとう」と言いますが、実は世界にはそうではない文化がたくさんあります。バングラデシュもその一つです。

現地語のベンガル語で「ありがとう」に当たる言葉は「ধন্যবাদ」(ドンノバッド)ですが、日常的にはあまり使いません。特に親しい間では、言葉にするよりも行動で感謝を示すことが一般的。たとえば、相手が飲み物を出してくれたら、それをすなおに受け取って飲むこと——その行為そのものが「ありがとう」の意味になるのです。

この習慣には、宗教的な背景も関係しています。イスラム教の考えでは、「すべては神の恵みによる」とされ、人に対して過度に感謝の言葉を重ねるよりも、神に感謝することが重視されます。そのため、人間同士のやりとりでは、感謝の気持ちをあえて言葉にしない傾向があるのです。

とはいえ、都市部や若い世代の間では、外国の影響もあって「ドンノバッド」を使う場面も増えてきています。特にサービス業や観光地では、訪れる外国人に配慮して使われることも。

言葉の有無よりも大切なのは、心の通い合い。バングラデシュでは、無言の優しさや、ほほ笑み、小さな気配りに、本当の感謝がこめられているのかもしれません。

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