「降り月」とは秋の風情を表す美しい季語
「降り月(くだりづき)」という言葉を聞いたことがありますか? これは、陰暦の十八夜から二十一、二夜頃にかけて見える月のことで、満月のあと、少しずつ欠けていく姿を指します。まるで空から静かに「降りていく」ように見えることから、この名がついたとされています。
「降り月」は秋の季語に分類され、俳句や短歌でよく使われます。満月の華やかさとは対照的に、しんみりとした静けさや、物事の終わりゆく儚さを感じさせます。昔の人々は、月の満ち欠けを自然の営みとともに心に感じ取り、言葉にしました。対になる言葉として「上り月」があります。こちらは新月から満月に向かって少しずつ大きくなる月を指し、成長や希望のイメージが伴います。それに対して「降り月」は、内省や落ち着き、あるいは別れの情景を連想させるのです。
現代ではあまり使われなくなった言葉ですが、秋の夜空を見上げるとき、「ああ、今日は降り月だな」と思うだけで、心が少しだけ豊かになります。月の移ろいを通して、季節の移り変わりを感じる——そんな日本の伝統的な感性は、今も私たちの中に静かに息づいています。
コメント
まだコメントはありません。最初のコメントを投稿しましょう。