ナポレオンの遺体が腐敗しなかった謎
1821年にセントヘレナ島で死去したナポレオン・ボナパルトの遺体は、没後19年を経て埋葬のためにフランス本土へと送還されました。その際、発掘に立ち会った人々を深く驚かせたのは、19年もの歳月が経過したにもかかわらず遺体がほとんど腐敗していなかったという事実です。
この不思議な現象の理由として挙げられるのが、身体の内外に存在していた砒素(ヒソ)による防腐作用です。当時のナポレオンの居室には「シェーレグリーン」と呼ばれる砒素を含んだ鮮やかな緑色の壁紙が使われており、日常的に毒素を取り込んでいた可能性が指摘されています。
猛毒として人の命を奪う危険な物質でありながら、細菌の繁殖を防いでミイラ化を促進する性質も持っていた砒素。死因となったかもしれない毒物が、結果として遺体を長期間美しく保つ役割を果たしたというのは、歴史の皮肉と言えるかもしれません。
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