蓮の花を手にする美しき女神「多羅菩薩」
仏教美術や仏像において、蓮の花は清らかさと救済の象徴として数多くの尊格とともに描かれてきました。なかでも、手にした美しい蓮の花が印象的な仏として名高いのがターラ(多羅菩薩)です。
サンスクリット語で「瞳」や「救い」を意味するターラは、インドからチベット、ネパール、モンゴル、中国に至るまで、密教が伝わった広大な地域で観音菩薩にも並ぶ厚い信仰を集めてきました。
その誕生にまつわる伝承は深く心に響くものです。世の中のすべての衆生を救い尽くすことができない深甚な悲しみから、観音菩薩が流した涙が地上へ落ち、そこに咲いた一輪の蓮華の中から多羅菩薩が生まれたとされています。人々の苦しみに寄り添い、即座に手を差し伸べる慈愛の象徴として、その手にある蓮の花は今も温かい救いの光を放ち続けています。
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