血圧が「140」と聞いて、あなたやご家族は「大丈夫かな」「高いのではないか」と不安に思われたのではないでしょうか。健康診断の結果などでこの数字を目にし、どう対応すべきか悩んでいる方も多いはずです。

結論からお伝えすると、医療の世界では血圧が140 mmHg以上(上の血圧、または収縮期血圧)である場合、「高血圧」の基準に該当します。しかし、たった1回の測定や、その時の状況によって血圧は大きく変動するため、この数字を正しく理解し、適切に対処することが何よりも大切です。

この記事では、血圧140という数値が意味することや、なぜそれが体に影響を与えるのか、そして今後どのように向き合っていけばよいのかを、専門的な視点から分かりやすく解説していきます。

血圧140とは? 基準値と日本の高血圧の現状

私たちの血圧は、心臓が収縮して血液を全身に送り出す時の圧力である「収縮期血圧(上の血圧)」と、心臓が拡張して血液を戻す時の圧力である「拡張期血圧(下の血圧)」の2つの数値で表されます。

日本の学会(日本高血圧学会など)が定める基準では、診察室で測った血圧が「140/90 mmHg以上」である場合、高血圧と診断されます。つまり、「140」という数値は、まさに高血圧の境界線、あるいはすでに高血圧の領域に入っているサインなのです。

血圧の分類一覧

  • 正常血圧: 上 120 mmHg未満 かつ 下 80 mmHg未満

  • 正常高値血圧: 上 120〜129 mmHg かつ 下 80 mmHg未満

  • 高値血圧: 上 130〜139 mmHg かつ/または 下 80〜89 mmHg

  • I度高血圧(軽症): 上 140〜159 mmHg かつ/または 下 90〜99 mmHg

  • II度高血圧(中等症): 上 160〜179 mmHg かつ/または 下 100〜109 mmHg

  • III度高血圧(重症): 上 180 mmHg以上 かつ/または 下 110 mmHg以上

このように、血圧が140の場合、「I度高血圧」に分類されます。重症ではありませんが、「そのまま放置してはいけない最初の警戒ライン」と捉えるのが正確です。

なぜ血圧は高くなるのか? 要因を知る

高血圧の約90%以上は、特定の病気が原因ではなく、日々の生活習慣や遺伝的な体質などが複雑に絡み合って起こる「本態性高血圧(ほんたいせいこうけあつ)」と呼ばれるものです。

日本人が血圧を上げやすい主な要因としては、以下のようなものが挙げられます。

  1. 塩分の摂りすぎ 塩分(ナトリウム)を多く摂りすぎると、血液中の水分量が増え、血管の壁にかかる圧力が強くなります。

  2. 肥満・運動不足 体重が増えると全身に血液を送る必要性が高まり、心臓や血管に負担がかかります。また、運動不足は血管の柔軟性を低下させます。

  3. ストレスや疲労 精神的なストレスや慢性的な疲労、睡眠不足が続くと、自律神経のうち「緊張」をつかさどる交感神経が優位になり、血管がギュッと縮まって血圧が上がります。

  4. 加齢 年齢を重ねるにつれて、全身の血管(動脈)は弾力性を失い、硬くなっていきます。そのため、自然と血圧が上がりやすくなります。

「140」を放置するとどうなる?

「少し高いだけだから、そのうち下がるだろう」「自覚症状がないから大丈夫」と、血圧140をそのままにしてしまう方は少なくありません。高血圧には基本的に自覚症状がないため、「沈黙の殺人者(サイレント・キラー)」と呼ばれることもあります。

しかし、高い圧力がかかった状態の血管を放置し続けると、血管の壁は傷つき、ボロボロになっていきます。これが進行すると、動脈硬化を引き起こし、やがて以下のような命に関わる重大な病気のリスクを高めることになります。

  • 脳の病気: 脳卒中(脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血など)

  • 心臓の病気: 心筋梗塞、狭心症、心不全

  • 腎臓の病気: 腎硬化症(最終的に人工透析が必要になることもあります)

まずはじめに行うべきこと

もし今回の血圧測定で140という数字が出たとしても、すぐに過度に心配する必要はありません。病院に行く前に、あるいは治療を考える前に、まずは以下のポイントを確認してみましょう。

  • 家庭血圧を毎日測る 病院で測る血圧(診察室血圧)は、緊張して高くなる傾向(白衣高血圧)があります。自宅でリラックスした状態で測る「家庭血圧」の方が、あなたの本当の状態を反映しています。家庭血圧の基準値は少し低く、「135/85 mmHg以上」が高血圧の目安となります。

  • 測る時間と姿勢を一定にする 朝(起床後1時間以内、排尿後、服薬前、朝食前)と、夜(就寝前)の1日2回、椅子に座って1〜2分安静にしてから測るのが理想です。

血圧140台から始める具体的な改善策と受診のタイミング

前項では、血圧140mmHgという数値が持つ意味や、それが身体に与える影響について解説しました。ここからは、実際に家庭や健康診断で「140」という数値を見たときに、私たちがどのように行動すべきか、その具体的な対策と受診の目安を分かりやすく解説します。

1. 自宅での正しい測定と記録の重要性

病院や健診の場では、緊張から血圧が高く出ることがあります(白衣高血圧)。そのため、本当の状態を把握するには自宅での家庭血圧がカギになります。

  • 測定の頻度: 毎朝(起床後1時間以内・排尿後・服薬前・朝食前)と、夜(就寝前)の1日2回測ります。

  • 記録をつける: 測った日付、時間、上の血圧、下の血圧、脈拍を「血圧手帳」やノートに毎日書き留めましょう。

  • 判断の基準: 家庭血圧で135/85 mmHg以上が継続して続く場合は、本格的な高血圧(I度高血圧)とみなされます。

2. 今日からできる生活習慣の改善

血圧140台の初期段階であれば、まずは日々のライフスタイルを見直すことで十分に改善が期待できます。

  • 減塩を意識する: 日本人の高血圧の大きな原因は塩分の摂りすぎです。1日の塩分摂取量は男性未満・女性未満(目安として1日6g未満)を目指し、出汁やスパイスを活用して薄味に慣れましょう。

  • 適度な有酸素運動: ウォクキングや軽いジョギングなどの運動を継続すると、血管を広げる物質が出て血圧を下げる効果があります。無理のない範囲で毎日20〜30分程度行いましょう。

  • バランスの取れた食生活と節度ある飲酒: 野菜や海藻、大豆製品に多く含まれるカリウムには、余分な塩分を体の外へ排泄する働きがあります。また、アルコールの飲みすぎは血圧を上げるため、適量を守ることが大切です。

3. 医療機関を受診すべきタイミング

「たまたま高かっただけかもしれない」と自己判断して放置するのは禁物です。以下のような状況が見られる場合は、早めに内科などの医療機関を受診してください。

  • 自宅で朝晩測ったデータの平均が、連日135/85 mmHgを超えている場合

  • 頭痛、めまい、動悸などの自覚症状を伴う場合

  • 糖尿病、脂質異常症、腎臓病などの持病がある、または喫煙習慣や肥満がある場合(血管への負担がより大きくなります)

まとめ

血圧140という数値は、体からの「生活を見直してほしい」という大切なサインです。過度に恐れる必要はありませんが、放置せずに毎日の測定と生活改善を心がけ、必要に応じて専門医の意見を聞きながら健やかな血管を守っていきましょう。

血圧の数値に関して、ご自身で現在気になっていることや、生活習慣で取り組んでみたいことはありますか?