「あはせ」とは夏に着る伝統的な着物

古語で「あはせ」という言葉を聞いたことがありますか?これは現代では「」と書き、裏地がついているけれど、綿は入れていない着物のことを指します。特に初夏から晩夏にかけて、気温が高くなりすぎた時期に着られることが多く、[季語]として「夏」に分類されます。

袷は単衣(ひとえ)と比べて一枚地ではなく、表と裏の二層構造になっているため、シワになりにくく、上品な風合いが特徴です。単衣が初夏に着る薄手の着物であるのに対し、袷は少しだけしっかりとした素材で、気温の変化に対応しやすいのです。

江戸時代には、季節の移ろいに合わせて着物を変える習慣があり、「衣替え」は生活の一部でした。5月頃になると単衣に、そして10月頃にはまた袷に戻すというリズムがありました。この「あはせ」という言葉は、そうした四季の感覚を体に感じさせます。

現代では、着物を日常的に着る機会は減りましたが、神社の神職や伝統芸能の場、また特別な儀式などで今も見ることができます。言葉ひとつにも、日本の季節感や生活の知恵がちゃんと宿っているのです。

「あはせ」は単なる服ではなく、自然と寄り添う暮らしの象徴ともいえるでしょう。夏の日差しにふわりと揺れる袷の姿には、昔の人々のさりげない工夫と美意識が静かに息づいています。

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