「今朝の秋」という季語

「親よりも白き羊や今朝の秋」—これは俳人・村上鬼城の句です。この中の季語は「今朝の秋」。一見すると「秋の朝」と読めますが、実はもっと特別な意味を持っています。

「今朝の秋」は、「立秋の日の朝」を指します。立秋は二十四節気の一つで、8月7日ごろ。この日を迎えたら、暦の上では秋が始まるとされるのです。だからこの句の「今朝」は、ただの秋の朝ではなく、秋の始まりその瞬間の情景をとらえています。

句の背景には、真っ白な羊が親羊よりも目立って見える光景があります。まるで新しい季節の訪れのように、その白さが清々しく、どこか頼もしく感じられる。親よりも白い羊—それは、季節の移り変わりの中で、新しい命や始まりの兆しを思わせる一頭なのでしょう。

こうした季語の使い方は、俳句ならではの繊細さ。たった数語で、季節の節目と自然の息づかいを的確にとらえています。「今朝の秋」は、秋の訪れを祝う、ささやかな儀式のような言葉だと言えるでしょう。

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